南アルプスの裾野にある大鹿村も5月になれば、春らんまん。赤紫、オレンジ、ピンクと色とりどりのツツジの花や、黄色いヤマブキ、オレンジのボケ、などあたり一面花でいっぱいです。里の藤の花は今が盛りだけれど、標高1050mの我が家の藤はまだイモ虫状態から少し変貌が始まったところです。藤がまるで蝶々みたいにイモ虫から少しずつ美しい花房に姿を変える過程を見るのが毎日の楽しみのひとつです。地味だけれどとても可憐なアケビの花にも目がとまります。アケビは田植え時に花を咲かせ、稲刈り時に実をならすので、とても田んぼと縁のあるヤマノモノです。そのアケビが咲いて、うちの田んぼも近いうちに田植えです。今年は友人にもらった信州在来のモチ米のモミをアキが手蒔きして苗を育てたので、それがどんな風に育つか、楽しみです。 ゴールデンウィークには「大鹿歌舞伎」の定期公演があり、その会場でコーヒー屋さんをしました。「大鹿歌舞伎」は地芝居としてはかなり有名なので、会場となった神社の境内には、東京・名古屋などからの日帰り組もいて、溢れんばかりの人でした。村人より観光客の方が圧倒的に多いので、村の産業課も力を入れている恒例のイベントです。大勢の観光客に混じって、このごろは村の人たちもコーヒーを飲みに来てくれるようになりました。日本人の食文化にコーヒーが日常的に浸透したなぁと思います。 春の始まりの3月20日、アメリカ政府がイラク攻撃を開始したことは後世の歴史に残ることでしょう。地球規模で沸き起こった「戦争反対」の声をも押し切って、アメリカ軍は今回、湾岸戦争の2・5倍の劣化ウラン弾をイラクに落としたといいます。劣化ウランの半減期は太陽系の寿命と同じ。イラクの人々のこれからを考えると重い気持ちになります。さらに日本に風で運ばれてきた黄砂の中に中東の砂も混じっていたと聞くと、まさに世界はひとつながりなのだと知らされます。殺しあうのではなく、相互扶助の心でつながりたい。 立夏 田村 寿満子 |
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