私たちは、グァテマラ・キチェ県の山間地域で、安全で、しかも驚くほど味わい深い「幻のコーヒー」に出会いました。

自動車など1台もない高地の村々。
そこで質素に暮らす純血の「インディヘナ」の人たち。

彼らのコーヒーは、化学肥料など一切使わず、収穫した豆の果肉はそのまま畑に還すなど、徹底した循環型の有機農法で栽培さえています。

この国では、こうしたコーヒーを「カフェ・インディオ」と呼び、珍重しています。

私たちがお届けするのは、この香り高い豆と、生産者の心。

生産者と皆様をつなぎます。

山間の農村

私のコーヒーの師匠の話をいたします。

 ロベルト・ワーグナー氏。グアテマラのドイツ系移民の家庭に生まれ、学生時代はドイツに留学していて、第二次世界大戦となりドイツ軍に志願しました。彼はドイツ語・スペイン語・英語が堪能であったことから情報部に配属されました。しかし、この経歴は氏が亡くなった後に息子さんから聞いた話で、氏が存命中にはそのことは私は知りませんでした。ある時、氏の運転する車に乗せてもらい会話をしていたときに、私が何気なく、氏の戦時中のことなどを聞いたのですが、人のプライベートのことは聞くんじゃないと、厳しい顔になり、しばらく無言になったことを記憶しています。ドイツ敗戦の後、たくさんのドイツ軍人やその家族が中南米に逃れてきて、1990年代でもまだイスラエルや国際ユダヤ団体がドイツ戦犯の追及をしていましたから、ユダヤ人迫害に直接加担してはいなかったにせよ、氏は警戒していたのでしょう。

 中南米にドイツ人が移民するようになったのは、1850年代からです。ちょうどその時期から中南米でコーヒー栽培が始まっていまして、それにはドイツ系移民が深くかかわっています。1820年代から中南米の諸国が次々とスペインから独立していくのですが、植民地を持っていなかったドイツは、中南米に人間を送りコーヒー栽培につかせていったのです。グアテマラでは今でもドイツ系移民のコーヒー農園や輸出業者がたくさんあり、厳然と勢力を保っています。ある輸出業者のオフィスを訪ねたときに、何人もの社員が電話でドイツ語で会話をしていました。最初はドイツ本国と話しているのかと思っていましたが、実はグアテマラ国内のコーヒー農園主と会話していたのです。値段やその他の情報が農園の従業員や周りに漏れないようにするためでしょう。私はドイツ語会話を習っていたことがあったので、ドイツ語で自己紹介をしたら、まわりの会話がぴたりと止み、視線が私に集まったことを記憶しています。

 さて、ワーグナー氏からは焙煎とブレンドの知識を教わりました。グアテマラではコーヒー豆の輸入が禁止されていますから、グアテマラの焙煎業者はグアテマラ産の豆を使うしかありません。一般にストレートコーヒーといわれる、産地が一種類のコーヒーは、美味しいのですが、どうしても味が単調になりやすく、飽きがくるものです。そこで、同じ豆でも焙煎の深さを変えてブレンドすれば、酸味や苦みを強調したり消したりすることができるのです。もっとも、コーヒー豆そのものに酸味がなかったら、どんなに技術があっても酸味はだせませんが。ブレンドの技術とは、大きくわけると、強調したい味覚のものを主要に配合し、隠し味として対極にある味覚のものを2~3割加える方法と、2種類を半々くらいに配合する方法があります。お客様の好みも多様ですから、ストレートコーヒーが1種類というのはビジネスとしてもなかなか難しいと思います。現在マヤコーヒーでは、4種類の度合いに焙煎をしていて、5種類の味のコーヒー豆を販売しております。